蝉はじめ 2021
オリンピック開幕直前の7月第四週の水曜日。朝、遠くで蝉の聲がきこえた。
もう夏が巡ってきたのか。期待空しく疫病は去らず、去年と同じ、いやむしろ空虚な自粛が2年も続いて飽き飽きだ。そんな気分がウィルスと共にそこら中にはびこっているようで、湿った夏の空気がカラダに重い。
今年の蝉は勢いのない一匹オオカミがぽつりぽつり。神社でジジジー、並木でジジー、河原へ出て耳を澄ましてみたけれどただ水面がきらきらするばかりだった。
暑い。でも夏になったのかどうかよく分からない。オリンピックは安心安全って遠くの方で何度も繰り返している。