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生きとし生けるもの

朝、ごみ出しに行く途中で、土のないタイル張りの床に蝉が居た。間もなく容赦ない夏の太陽が射してきて、そしたらこの蝉はタイルの上で丸焼けだろう。せめて樹液の出そうな植樹にとまって最期の時を楽しみなはれ、と思って持っていたキーホルダーに掴まらせ、ひょいと近くの木の幹に移してやった。思いのほか掴まる脚が力強くて、こいつはまだまだ生きるかも、と思わせた。

次の朝、窓の下のほうから蝉の大声が鳴り響いてきた。あの蝉かしら。少しは樹液を飲んだりしたかしら。運命の彼女には巡り会えたろうか、次に命をつなげたろうか、いずれにせよ長くて7日の命だろうものを。