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知性の萌芽

花見のメンバーに1歳と7ヶ月の女児がいて、これが観察してると面白い。仮にジョジちゃんと呼ぶ。大人ばかりの中で退屈するだろう、と小さいウサギのヌイグルミを持たせたら、かなり気に入って抱っこしていた。大人が赤ん坊を抱っこするようにちゃんと頭を上に、自らの肩にウサギの頭を乗っけてなかなか様になっている。うれしそう。
ジョジちゃんにはもう一つ気に入っているものがある。小石。外に出ると、小石を拾わずには居られぬほど小石が大好きらしい。しばらく歩いているうちにしっかり片手に小石が握られていた。片手にウサギ、片手に小石。もう大満足で大行進。
そこへT子さんが「さ、ジョジちゃん、手を繋いで行こう!」と声をかけたから、さぁ困った。ウサギと小石で両手はいっぱい。このうえ繋ごうにも3本目の手はない。
まだ口は利けないものの、大人の言うことを殆ど理解しているジョジちゃんのなかで、なんとかしてT子さんの要望に応えようとものすごい葛藤が始まったのが見て取れた。立ち止まったジョジちゃんは、しゅぅとしゃがんで、まず右手のウサギをそっと地面にお座りさせ、続いて左手の小石をウサギの左側にきちんと置いた。立ち上がって思案したその顔でウサギを右手で持ち上げ、小石を左手で握ってみた。ありゃりゃ、さっきとおんなじじゃん。手をつなげないよ。これじゃ駄目だ。真剣な顔で五、六歩進んでからジョジちゃんはもう一回ウサギをお座りさせ、小石を置き、、、
これ繰り返すこと二回。三回目に小石をウサギの横に置いたとき、何かがジョジちゃんのなかで起こったようだ。右手で抱っこしたウサギをそのまま右腕に抱え込む形をとり、左手で拾い上げた小石を、自由になった右手のひらに移し替えた。左手が空いた!
ようようT子さんと手を繋ぎ、夢のように美しい桜吹雪の下、ジョジちゃんのご機嫌大行進は再開したのだった。