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you're well tanned (2004年の蝉)

ほぼ1週間振りにオフィスに出た。オボンはヨカッタ?リラックスした?なんて訊いてくるところをみると、お盆の何たるかはあんまり判ってないみたいだ。しかし、それよりガツンと来たのは「いい色に焼けたね」だ。

SPF30の下地にSPF20のファンデーションを塗りこめていたにも拘らず、「いい色」になってしまったらしい。PAだって+++だった(と思う)のに!のに!UV加工の日傘だってさしていたのに! ひじょーに遺憾な気持ちでうちに帰ってよく見てみれば、全く何も塗らずに晒しっ放しだった腕と顔が同じ色合い。わかりましたよ。お日様、あーたの勝ちです。

真夏日が続く太陽を貧弱な日傘でかき分けながら、父方と母方と両家の墓参の合間に、すっかり観光地に化けてしまった故郷の町を歩き回った。そもそも墓のある寺自体が国宝だったり、博物館が併設されていたりするのだが、子供のころから慣れ親しんだあの通りやこの小道がことごとく「城下町散歩コース」になっていて変な感じ。よそよそしい未来にタイムスリップして居場所を失ったエーリアンの心持。陽光を凌ぐ為、いかにも税金対策という感じで自宅の庭を開放したテラス風の喫茶店で、べらぼうに高い紅茶とケーキのセットを頼んだ。

ずっと前に亡くなった祖父が我が家の屋根の上にどっしり座って見守っている、と祖母はよく言った。その祖母が玄関を開けて迎え出てくれるのをいつまでも待ってみた。昔のように、硝子の引き戸のむこうから私に呼びかけるあの声が聞こえる気がした。
屋根を見上げたら空がものすごく夏で、蝉の声がじりじりと聞こえてきた。暑さなんて感じなかった。