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うっとり×ツイッター×紙の本+英語

うっとりする本

高校のクラスメートは分厚い参考書を開いてみせ、みっしり且つ整然とそのページを埋め尽くす数式を眺めて「ね、きれいじゃろぅ!」と少し上気した夢見る顔をあげて私に同意を求めた。数学のセンスを持った人々にはどうもこういうのは「エレガント」で「ため息が出るほど美しい」らしい。

美の基準は人それぞれで、ハートの、いや、脳細胞の奥深くに入り組んだところにその人だけの「うっとりポイント」がある。

そのクラスメートの融点は数式にあったようだ。

どきどきバクバクさせられるような、熱心の沸点とは違って、うっとりはその融点にふれると浮世の序列や時間、ものごとの軽重などの常識的な枠組みのようなものがどうでもいいことになってとろけていく。わたしにもわたしのうっとりポイントがある。

ツイッターは難しい

単にブログ更新のお知らせとして始めたツイッターのことは、相変わらず勝手が分からなくて苦手だ。どういうのが他人様の逆鱗に触れるのか、どうすれば礼儀に叶うのか、安全と危険、気にし始めると病むレベルまで心配になって身動きが取れなくなる。もうやめようと幾度も思ったけれど、少しはいいこともある。思いも寄らない本が視界に入ってくることはこのいいことの一つだ。

紙の本を読む

池澤夏樹の『スティル・ライフ』。芥川受賞作だけれど私は無関心で読んでいなかった。人気のインフルエンサーが「平和な気持ちになる」というようなことをツイートしていたので読んでみた。

よかった。無数の星に吸い込まれるような話だった*1

文庫版に収録されたもう一つの話も意表を突いた。むしろそっちの方が好きだった。その『ヤーチャイカ』は2022年の2月から此方を生きている今というタイミングで読むとより一層に心がぐらぐらするんじゃないか。自分の座っている椅子が不意に海を越えて冷えた黒土のうえに投げ出されるような、そういうぐらぐらだ。

星に吸い込まれたり、ぐらぐらしたりのうっとりが詰まった小さい紙の本を携えて散歩に出るのも楽しい。紙の頁をめくりながらのろのろと読むうちに周りの風景が本と同化していく感じが、どうしても電子書籍では湧いてこない。好みや先入観や頑固な思い込みの所為だと思うけれど、やっぱり手の中で感じる紙の本が好き。

学習垢

ツイッターに英語学習垢というジャンル(?)があって、中に入っていく勇気はとてもないけれど、熱心な方々の弛まぬ努力や工夫を凝らした勉強方法が気前よく披露されている。これがもう一つ、ツイッターで見つかったいいことだ。

今、サマセット・モームの『月と六ペンス』を金原瑞人さんの新訳で熟読しているところだ。モーム、すごいな、ニンゲンのことよく見てるな、いろんな人が思い切り人間臭く絡まり合って異世界に引き込まれる。

これを熟読し終わったらば、オーディブルで原書の音声を聴き、しかる後に今度は文字の原書をゆっくり読んだら楽しく英語の勉強になるかしら。今はそういう予定でいる。このやり方を誰かが呟いていたわけでもなく、賑やかなタイムラインを眺めながら、ああ、自分はこうしようと思い立ったやり方だ。

このルーティンを終えたら、次は『自負と偏見*2を読む予定だ。「高慢」と「自負」の違いがどんな風に迫ってくるか楽しみにしている。

自負と偏見 (新潮文庫)

ツイッターは何時まで続けられるか分からない。タイムラインをただ傍観しているぶんには結構楽しいものなのかも知れない。

 

 

*1:本当に個人の感想です

*2:これも新潮文庫の名作新訳コレクションのひとつ。